とある中堅大生の奮闘記

中堅大に通う学生が日々もがいて得た知見を発信していきます

実験レポートがつらい – 手書きレポートの愚痴と考えてみたこと

実験レポートがつらい – 手書きレポートの愚痴と考えてみたこと

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久しぶりのブログ更新になります。春休み中に始めたこのブログ、春休み中は更新できていたのですが、大学の学期が始まってからブログを書く時間が全く取れなくなってしまいました。

ブログを更新できなくなった理由は、ズバリ実験レポートが大変すぎる!から。学生実験についてのブログ記事はあまり見かけないような気がするので、一人の工学部生の悲鳴の記録として記事にしてみようと思います。

 

学生実験とは?

僕は私立大学の工学部電気電子工学科に所属しています。僕の学科では各学期に学生実験があり、これらは必修科目のため卒業するには全員が受ける必要がある。

実験の内容は電子回路やデジタル回路を組んでオシロスコープで電圧波形を観察したり、トランジスタの電流電圧特性を調べたり、コンピュータ上で電子回路のシミュレーションを行って理解を深めたり、モーターの制御を行ったり...といったもので、教科書で学んだことを手を動かしながら4時間ほどで行う。

実験自体は回路を組んで測定して理論で学んだ現象を観察したりと、楽しいものが多い。実験をただ行うだけなら楽しかったまたやりたい!で終わることができる。

が、しかし、学生実験は、授業時間中の実験とその報告書の提出をもって初めて単位が認定される。実験をただやるだけではダメで、この報告書の提出が必須。

工学部の学生や学生だった方ならわかると思いますが、この報告書の提出、レポートがとにかくキツい。

なぜキツいか。このレポート、(僕の所属する学科の場合)隔週で30枚近いレポートを”手書きで”出さなければならないのです。

この期間でこの枚数のレポートを手書きで書くのは非常に大変。僕の所属する学科だけが手書きレポートなんて書かされているのかと思いましたが、どうやら学生実験レポートが手書きなのは僕の大学だけではないようです…

 

とにかく時間がかかる

手書きレポートは発狂しそうになるほど時間がかかります。提出日前日の夜に徹夜しているときはあまりのつらさに人生とは何かと自身に問い始めたり、ひどいときは泣きそうになったり(ガチ)と、完全に虚無状態に。提出日が月曜日だと、こんな感じで土日を最悪な気分で過ごすことになり、楽しい週末が地獄と化します。

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徹夜のお供,レッドブル.世界中でアクティブな学生に評価されているらしい.

 これでは女の子とデートに行く時間すらない(レポートがなかったらデートに行くのかとは聞かないで)。休日返上のおかげでブラック企業耐性がめきめきと育っていく。

僕の大学はレベルの高い大学というわけではないんですが、就職はいいみたいです。卒業生はみなこのレポートを乗り越えてきたはずなので、このレポートで鍛えられるというのもあるのかもしれません。

週末に実験レポートを書くの、本当に気が滅入りますよ、マジで。良い子のみんなは早めにやろうね(これができたら苦労しない)

 

作業ばかりに時間がかかって考察に時間が割けない

実験データを処理して得られたグラフから考察をするのが報告書の作成において最も重要なパートであるといってもいいだろう。

しかし手書きにより回路図や膨大な文字を書くのに時間がとられ、どうしても肝心の考察が薄くなってしまう。これではまさに本末転倒である。

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 手書きレポートの作成風景

「そんなに多いならもっと早くからやっとけ」-「ぼくたちはね、レポートだけやってればいいわけじゃあないんだよ。」

 実験はあくまでも科目のひとつ。土日まるまるレポート書きに消費したって取得する単位は他と同じ2単位である。これは完全に割りに合っていない。おかしい。せめて4単位はくれてもいいだろう。

そんな実験レポート以外にも、難しい専門科目が待ち受けており、それらの試験対策もしなければならない。工学部生に安息の日々はない。

 

こんなに頑張って書いてもたいしたフィードバックをもらえない

徹夜をして必死で書き上げた20〜30枚近いレポート。晴れて提出を終え、先生のチェックを受け返却される。ところが、数箇所修正を指摘されただけで思いのほかあっさりと返却されてしまう。僕のレポートの出来が良いのを置いといても(オイ)、これだけ時間をかけて書いたのだから、もう少しアドバイスなどのフィードバックがほしい。先生も忙しいだろうし簡単なことではないだろうが。

 

余談だが、このレポートは返却されない。パソコンで作成したならデータは自分のところにあるので手元に残るが、手書きレポートは原本のみなので提出してしまったら手元に何も残らない。苦しみながら書いたレポートは、もはや我が子のようなもの。それを平気で取り上げるなんて、こんなことが許されていいのだろうか。

 

悪いことばかりではない…かも

手書きなのは、体で覚えろ、みたいにある種計算ドリルのようなトレーニングとしての勉強という側面があるからなのかもしれない。

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手書きだと、気のせいかもしれないが記憶によく定着しやすい気がする。これは誰にでも共通することかはわからないが、いわゆる理系科目の勉強、数式処理や計算が絡む勉強は、紙とペンを使ったほうが知識として定着しやすいという経験がある。

学生実験は、すでにわかっていることを実験を通して理解を深めることが目的で、研究と違って新たな知見を対外的に発表するわけではない。

なので、実験以外の他の科目と同じようにインプットとして行う勉強と考えれば、大変だけども記憶に定着しやすい手書きも悪くないのかもしれない。トレーニングライクな勉強としてなら、体で覚えろ精神の根性手書きレポートにも教育的な効果があるのかもしれない。

…あるのかもしれないが、やっぱりやりたくはない。

 

スキルが身につかない - 将来役に立つの?明後日の方向に頑張っている感

僕の大学で2年生のときにやった学生実験の手書きレポートでは、実験データをグラフにするときはテンプレートや自在定規という道具を使ってグラフを書く。

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テンプレート.記号やグラフのプロットを書くのに使用する.

 2年生の終わりごろには、このテンプレートを用いて素早く黒丸をグラフ用紙に打つことができるようになり、雲形定規を用いて最小二乗法にも劣らない曲線を書けるようにもなった。

…なったが、このスキル、一体どこで役に立つのだろうか…上で述べたような作業は今やExcelを使えばあっという間にできる。

以前教授に手書きグラフについて聞いたことがあるのだが、昔は論文のグラフも手書きで書いていたらしい。とはいえ、今や一人一台以上コンピュータを持つ時代だ。手書きではどんなに頑張っても図の綺麗さや見やすさはコンピュータで作成したものよりも劣るし、手書きのグラフを書かなければならなくなる状況って、おそらくこれから先ほとんどないと思う。

だったら、学部生の早いうちからコンピュータでデータ処理をしたり図を作成したり、貴重な学部生のうちの時間をこれから役に立つスキルを磨くのに使いたい。

先ほど述べたように、テンプレートや自在定規を使ってグラフを書くのは感覚をつかみやすかったり正しいグラフの書き方を覚えられたりと全く無駄とは思わないけど、書くのが大変なわりに実用性に乏しい…

将来やることになる研究活動では、おそらく論文や発表資料はコンピュータで作成することになるはず。そのためには研究が始まる前の学部生のうちにWordやPowerPointなどのOfficeやLaTeXといったソフトウェアやツールの使い方には習熟しておきたい…それなのに、その練習であるとも言える実験レポートは手書きである。こんなことをやっていていいのかという焦りがつのる。

このスキルが身につかないのではという焦りが実際一番深刻だと思っている。多くのリソースを割いて、身につくのは将来使うかもわからない手書きレポートの書き方…

アメリカや中国の学生たちはレポートはどうしているのか。さすがに手書きレポートは書いてないだろうなあ。僕は大学院進学を考えているのだが、彼らとまともに勝負できるのか不安になってきた…

 

まとめ

学生実験のレポートに苦しめられ、いろいろ考えることができたのは不幸中の幸いかもしれない。

大学のカリキュラムの中には、ときに時間が奪われているとさえ思うような、これはどうなんだ?みたいなものも数多くある。

僕の場合、大学の成績は研究室配属や学費免除等の奨学金に関わってくるためあからさまに手を抜いたりはできないのだが、大学での課題や勉強をがんばるというよりも、大学での講義や課題とはほどほどにうまく付き合い、あくまでペースメーカーとして利用するくらいがちょうどいいのではないかと思う。

大学を卒業することも大事なことではあるが、より本質的なことは、大学へ行くことで自分が何を得るのか、ということだと思う。もしこの記事を大学初年度の学生や高校生が見ていたらこのことを意識して大学生活を送ってほしい。

最後に、この記事を検索して見つけた方はレポートに押しつぶされそうになっているのかもしれない。僕はそんなときTwitterで「レポート つらい」というワードで検索し仲間を見つけて勇気をもらった。

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この記事を読んだのも何かの縁、レポートに苦しめられた同期として僕はあなたに心からエールを送りたい。

おまけ レポート武勇伝

徹夜でレポートを書き上げた次の日、親指が筋肉痛

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一番枚数が多かったレポート.42枚.この厚さになると普通のホチキスではまともに留められない.